映画

映画感想:『ショート・ターム』で目線を合わせる

映画『ショート・ターム』特報こういった施設を舞台とした作品をいくつか観てきた。古くは『カッコーの巣の上で』が有名だろう。ジャック・ニコルソン演じるマクマーフィーが刑務所から逃れるために精神病院に入院する話だ。彼は精神病患者を特別扱いせず、…

映画感想:『ニュー・シネマ・パラダイス』は映画好きのための映画

映画「ニュー・シネマ・パラダイス完全オリジナル版」日本版劇場予告 映画好きの映画好きによる映画好きのための映画。タイトルは『ニュー・シネマ・パラダイス(イタリア原題:Nuovo Cinema Pradiso』)』、映画好きのパラダイスのような映画なのだ。 まず音…

映画感想:『イミテーション・ゲーム』はマイノリティのスポットライト

映画『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』予告編メディアとは本来「媒体」のことである。物事と人をつなげる役割を果たす。ただメディアには、他の側面もある。「光をあてる」ということである。この風刺画を一度は見たことがある人は多…

映画感想:『そして父になる』の福山雅治の演技は素晴らしい

映画『そして父になる』予告編福山雅治の演技へのアンチが多いようなので、それに関しての個人的な感想を。本作での福山雅治の演技は良かったように思う。 「演技うまい」ということではない。キムタクと同様に、彼もまた何を演じても「福山雅治が演じている…

映画感想:『オクジャ』と北海道の猟師から考える食肉

この子は、私の大切な家族。『オクジャ/okja』家族編 (30秒) 韓国出身ポン・ジュノ監督が各映画会社に企画を持ち込み、多くは断られ、NETFLIXのみが賛同。予算50億ドル、内容に関してNetflixは口を出さなかったもので、それゆえに自由に作られた作品になっ…

映画感想:『20センチュリー・ウーマン』の各シーンを切り取って写真展を開きたい

20th Century Women | Official Trailer HD | A24 素晴らしい作品だった。今のところ、2017年に観た映画でベスト。 稚拙な感想に聞こえてしまうかもしれないが、とにかく「キラキラ」している。ポスター写真の雰囲気そのままだ。 1970年代という女性の社会的…

映画感想:『ウルフ・オブ・ウォールストリート』には「理性」という概念が存在しない

『ウルフ・オブ・ウォールストリート』 予告編 欲望。多くの動物が生きるために持っているもので、動物である人間ももちろん持っている。 しかし人間が他の動物と違うのは「理性」があるということだ。 「理性」により人間は高度な文明を築きあげ、大きな力…

映画感想:『マダム・イン・ニューヨーク』は日曜の夜に鑑賞するのが最適

映画『マダム・イン・ニューヨーク』予告編 これまで5本程度見てきたインド映画。 通して感じることは「ストレート」だということである。 起承転結はあるのだが、本当に真っ当に起承転結。大どんでん返しはない。期待を裏切られないという点で、安心して観…

映画感想:『ビフォア・ミッドナイト』でロマンを語ることの意味を知る

映画『ビフォア・ミッドナイト』予告編ビフォアシリーズで1番良かった。全2作が半ば夢の話なのであれば、本作は現実の話。ジェシー、セリーヌは共に年を取っており40代。2人は夫婦となっており、双子の娘がいる。生活を共にしていると、どうしても話す内容も…

映画感想:『ビフォアサンセット』の非合理的な2人

Before Sunset - Original Theatrical Trailer「運命」という概念を持つのは人間だけだろう。 イルカは運命を信じるだろうか。オスイルカは、大海原でかつて出会ったメスイルカを覚えているだろうか。 たとえ覚えていたとしても、今ある自分の生活を捨ててま…

映画感想:『ローガン』はアンチヒーロー映画

www.youtube.com 映画の予告動画はとても重要だ。 鑑賞者は、映画館で、TVCMで、Youtubeで、予告動画を見て「その映画を鑑賞すべきか」を判断する。その点『ローガン』は素晴らしい。予告に使われている曲は、ジョニー・キャッシュ(Johnny Cash)の”Hurt”と…

映画感想:『メッセージ』は未来の話ではない

映画『メッセージ』予告 本作『メッセージ(原題:Arrival)』はSF映画である。 しかしSF映画(ここでは宇宙映画)と一言で言っても、様々なジャンルが存在する。1つは純粋に「宇宙」をテーマにした作品である。 例えば『2001年宇宙の旅』や『ゼロ・グラビテ…

映画感想:『インファナル・アフェアIII 終極無間』で仏教の残酷さを知る

『インファナル・アフェアIII 終極無間』は『インファナル・アフェア 無間序曲』に次ぐ「インファナル・アフェア」、三部作の三作品目。 シリーズの完結編である。『インファナル・アフェア』の前後数ヶ月を中心に話は展開する。 ヤンは組織の中でどういう立…

映画感想:『インファナル・アフェア 無間序曲』は香港返還の抒情詩

『インファナル・アフェア 無間序曲』は「インファナル・アフェア」、三部作の二作品目。 ゴッドファーザーと同じく、間の二作品目は、過去の話が中心になっている。時代は一作品目である『インファナルアフェア』の2000年代初頭から遡り、香港返還(1997年…

映画感想:『インファナル・アフェア』はアジア映画最高峰

Infernal Affairs - Official Trailer [HD]アジア映画というと、ジャーキー・チェンが「アチョー!」と言っていたり、 あるいは「少林サッカー」のやりすぎなCGのイメージだったり、あまり繊細な作品のイメージがなかった。本作には驚いた。マフィアに潜入す…

映画感想:『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離』と『俺の全て』

Before Sunrise - Original Theatrical Trailer 燃えるようなアバンチュール うすい胸を焦がす これが俺の全て スピッツの名曲『俺のすべて』の歌詞の一部だ。「アバンチュール」という言葉は、既に日本では死語となってしまっているが、本来はフランス語で…

映画感想:『美女と野獣』はLGBTに対するディズニーのスタンス表明

エマ・ワトソン 映画 『美女と野獣』 予告編 良かった。「1991年製作のアニメ作品を単純に実写したもの」だと思い侮ることなかれ。製作費1億6,000万ドル(約176億円)は伊達ではない。 美男美女 ベル役エマ・ワトソンはもちろん、野獣役のダン・スティーヴン…

映画感想:『平成たぬき合戦ぽんぽこ』と『妖怪ウォッチ』

映画 平成狸合戦ぽんぽこ CM 1994年自分が3才ぐらいの小さい子どもだった時、祖父によく近くの川に連れていってもらったのを覚えている。 海の近くの下流なので比較的流れは穏やかではあるものの、泳げもしない子どもなので川に落ちたら溺れてしまうかもしれ…

映画感想:『別離』で人の葛藤、苦悩、弱さを知る

Jodaeiye Nader az Simin - Trailer (Starring: Leila Hatami, Kimia Hosseini) イランという国にどういうイメージがあるだろうか。石油が主要産業の国? イランは、石油の埋蔵量4位の国家。輸出収入の80%を石油が締める。宗教が強い国? イランは、宗教上(…

映画感想:『オデッセイ』を宇宙飛行士になりたい人は見るべきだ

映画「オデッセイ」予告Z マッド・デイモンは遠く彼方の惑星に取り残されがちである。インターステラーでは、火星よりはるかに遠い惑星で1人取り残されていた。1人で残された悔しさからか、それとも長年1人だったことで気が狂ってしまったのか、インターステ…

映画感想:『パッセンジャー』は、舞台設定がいいラブストーリー

映画 『パッセンジャー』 予告『目覚めたのには、理由がある』そんな含みのある言い方と、2人の男女が目覚めている宇宙船内の映像。 そして、危機的な状況に対処する彼らの映像が予告編では描かれる。男女2人の作品であることは予告段階から分かるものの、 …

映画感想:『おおかみこどもの雨と雪』は「選択」の話

映画「おおかみこどもの雨と雪」特報1金曜ロードショーでやっていたので鑑賞。とても優しく暖かい母親が印象に残る。2人のおおかみこどもの母親花は周囲に頼れない大変な状況の中、子育てをする。人によっては「ゆるふわへらへらで子育て、そんな甘くないし…

映画感想:『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』は最高にロック

"Angry Inch" - Hedwig and the Angry Inch (2001)ロックを語るということがナンセンスなのかもしれないが、この映画については語らざるを得ない。元々舞台だったのを映画化したというもので、そのせいか、映像に躍動感がある。画面を通して見ているのだが、…

映画感想:『ボーダーライン』でメキシコの現実を知る

2016年北米公開の『メッセージ』がアカデミー賞ノミネート、今年は『ブレードランナー』の続編『ブレードランナー 2049』が公開されるドゥニ・ヴィルヌーヴの監督作。メキシコの麻薬戦争を扱っており、翻弄されるFBI女性捜査官の視点を中心に作成されている…

映画感想:『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』とファイトクラブの共通点

Birdman (2014) Official Trailer #2 (HD) Emma Stone, Edward Norton過去の栄光(映画『バードマン』出演によるスターダム)に縛られ続け、再起をかけてブロードウェイでの舞台に挑む俳優の話。副題の「The Unexpected Virtue of Ignorance(無知がもたらす…

映画感想:『カッコーの巣の上で』は未来への警鐘を鳴らしてくれる

カッコーの巣の上で [DVD]出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ発売日: 2010/04/21メディア: DVD購入: 7人 クリック: 29回この商品を含むブログ (50件) を見るジャック・ニコルソン出演作は鑑賞したことがなく、ずっとシャイニングジャケット画のイメ…

映画感想:『お嬢さん』の鑑賞は145分の濃密な時間

『お嬢さん』本編特別映像なかなかエゲツないエロと狂気。鑑賞前の本作のイメージはそうだった。ウェールズの作家サラ・ウォーターズの「荊の城」を原作として、作品の舞台をヴィクトリア朝から日本統治時代の朝鮮に変更をしている。 その変更が功を奏し、本…

映画感想:『ラ・ラ・ランド』は、あえて言うが「がっかり」だった

La La Land (2016 Movie) Official Trailer – 'Dreamers' 鬼気迫る作品である『セッション』がとても良かったので 「セッションはこの作品(ラ・ラ・ランド)を作るために作った」 というほどの本作はどれだけのものだろうと期待値が高い中での鑑賞。 売れな…

映画感想:『湯を沸かすほどの熱い愛』で号泣

映画館で号泣してしまった。 「宮沢りえ演じるお母ちゃんが、ガンで死んでしまうのだが、死ぬまでに湯を沸かすほどの愛を周りの人に与えてくれる」そんなストーリーはタイトルと予告を見ればわかる。 ただ本作はそんな言葉だけで済ますことができないほど、…

映画感想:『エクス・マキナ』はタブーを考えさせてくれる

製作費約14億円と低予算ながら、2015年アカデミー賞の視覚効果賞を受賞した話題作。 低予算だとは思えない独特の雰囲気があり、人里離れた山奥の設定ながら近未来を感じさせる。 ストーリーとしては、特段派手な演出(人間vsAIの知能戦など)があるわけでな…

映画感想:『ルパン三世 カリオストロの城』を大人が見ても楽しめる理由

英語学習のためにhuluに登録したのだが、『ルパン三世 カリオストロの城』が目にとまったのでつい観てしまった。最初に観たのは、子どもの頃、小学生だっただろうか。昔は放送の多かった地上波の映画放送だった気がする。その時は、ルパンの活躍を見ていて楽…

映画感想:『コンタクト』は夢を追いかける話

コンタクト 特別版 [DVD]出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ発売日: 2011/09/07メディア: DVDこの商品を含むブログ (12件) を見るもう数年で公開されてから20年たつSF映画。主演は、ジョディ・フォスターである。 ジョディ・フォスター演じるエリー…

映画感想:『スター・ウォーズ エピソード7/フォースの覚醒』

旧作ファンのための映画 今までのスターウォーズとは大きく関連のない新作を現在の映像技術を使うことで、ハイクオリティの映画を作ることもできただろう。 近年公開の『インタステラー』や『ゼロ・グラビティ』などは、その技術を存分に使い、宇宙の果てし…

感想|映画『ゴーンガール』

デヴィッド・フィンチャー監督作品の鑑賞は、『ファイト・クラブ』『ベンジャミン・バトン』に次ぐ3作品目。結末の衝撃度で言ったら『ファイト・クラブ』は今まで見た映画の中でも飛び抜けて高く、『ゴーンガール』にも期待が高まる。 【あらすじ】 結婚5周…

映画『100万円と苦虫女』

蒼井優好きのための、蒼井優主演のロードムービー。 蒼井優が『ニライカナイからの手紙』以来、3年ぶりに主演を務めた、ほろ苦い青春ロードムービー。ひょんなことから各地を転々とすることになるヒロインの出会いと別れ、そして不器用な恋を丹念に映し出す…