【インドに行ってきた】ニューデリー1日目
安い航空券(中国東方航空)をとったため、上海からのフライト。
19:40にインドの入り口、ニューデリーのインディラ・ガンディー国際空港に到着した。
到着してすぐはインドを感じることはできない。
先進国と同じような、清潔で洗練されたフロア。
しかし、到着ロビーに出ると、かすかにインドを感じた。
なにか靄がかかっているのだ(外の霧?)。
自分たちの先行きを暗示するようで、少し不安になったりもする。
そう、ここからニューデリー市街地のホテルに向かうのだけれど、この移動が最初の懸念事項だった。空港が市街地から約20km西に位置しているため、歩いていくわけにはいかないからだ。
また、ニューデリーは「観光客を騙そうとするインド人」が一番多いと聞いていた。
その時は、様々な手段を検討した結果、プリペイドタクシーで市街地に向かうことに。
ガイドブックには、「かつては安心して利用できたのだが、近年このプリペイドタクシーでのトラブルが増加している」とは書いてあるが、「増加している=まだ少ない」という安易な論理によって大丈夫だと判断した。(後々に、本当に安易だったことを実感することになるとは…)
市街地までのチケット(荷物込み)を300ルピーで購入した。
タクシーの待っている場所(番号)を聞き、そこに向かう。
そこには、黒に天井が黄色のインド式タクシーが。
車の横で細くて弱々しい運転手が待っている。
「これは大丈夫そうだ」と思った矢先、何やら身なりがしっかりとしたインド人とその取り巻きに囲まれる。
「そのチケットならこのタクシーだ。こっちへ来い」
そう断言し、乗ろうとしたタクシーの少し奥に止まっているタクシーに案内された。
「これはもしやインドの洗礼では…?」と微かに疑うも、インドでの身の振り方が全くわからないためにどうしようもなく、そのままそのタクシーに乗ることにした。
発車して数十メートル、運転手が変わる。何やら電話をかけ始める。また運転手が変わった。
得体の知れない恐怖心を感じていた。すでにインド人のかけた罠に引っかかっているのではないか。日本では感じない感情。先に何が待っているかわからない不安。
何はともあれ、2回運転手が変わった後、空港からタクシーは出た。
運転手は気さくな感じだった。
「インドは初めてかい?」
「いい運転手の3箇条知ってるかい?え?知らない?good ブレーキgood クラクションgood luckさ!」
「ほらあそこ綺麗だろ。明日からお祭りがあるんだ」
確かに、モスクがイルミネーションで飾られていてとても華やかな祭りの雰囲気を感じることができる。
皆で「ちょうどいい時に来たね!」なんて喜んでいた。
30分ほど走ると、運転手が神妙な面持ちで言った。
「お祭りだから道路が封鎖されてるみたいだ」
右側の道路が、大きなガードのようなもので封鎖されている。
「ニューデリー駅に行けない(目的地、ホテルに近い)みたいだ。どうすればいいのか、観光案内所が近くにあるから相談しに行こう。」
何がどうなっているのかイマイチ把握できないままに、裏通りらしきところにある建物の前でタクシーがとまった。
「さあ、行こう」
荷物を残していくのが不安だったので4人とも行くのは危険だと考え、ダイちゃんとアヤコが観光案内所(らしき場所)へ、ミホさんと俺は車の中に残ることに。
あとで思い返してみれば、あれほど自分でコントロールすることのできない恐怖を感じたことはなかった。
異国の地で、自分たちがどこにいるのかがわからない。2人は建物の中に入ったっきり帰ってこない。
車の外は荒れた裏通り、ひそひそと何かを話すインド人。そして窓ガラスをたたき物乞いをする子どもたち。
40分ぐらい待っただったろうか。
2人が帰ってきた。笑顔だ。よかった。
セオリーどおりの高額ツアーだった。
ガイドやネットの体験記によく書いてある事項として「高額ツアーを組まされた」というものがある。まさにそれだ。
実際に提示されたツアーのメモが↓だ。
高級ツアーのAプランが2.450$、少し劣るBプランが1,940$である。
日本円にすると、Aプランが約22万円、Bプランが約17万円。
2人は笑ってしまったそうだ。怖かったのではなく、むしろ「面白かった」と。
しかし笑い事や他人事で済む話でもない。
表に出ているだけでも「高額ツアーを組まされた」という話がたくさん出ているのだから、見えないところでけっこうな旅行者が騙されていると思う。
ミホさんがインド人の友人に電話をし、その友人が運転手に話をつけてくれた。
「祭りなんてないでしょ。駅まで連れてってよ」
結局駅まであと少しのところで、「もう何でもいいから降りてくれよ」といったような様子で、無理やりタクシーから降ろされた。
最初の気さくさはどこにいったのか、うんざりした表情をしている。
ツアーを組ませることができなかった時点で、これ以上自分たちに構っていても、彼にお金は入ってこないのだろう。
幸いにも、駅の近くではあったので、最終的に一泊目の宿につくことができた。
ちなみにミホさんの友人曰く、祭りはないし道路も封鎖されていない。
この「祭りがあるから道路が封鎖されている」というのは結構な常套手段らしく、実はガイドブックにも書いてあった(後で気づいた)。
とんだ一日目だった。
ただよかったこともある。
緊張感を持つようになったことだ。
どれだけ「観光客向けの商売をしているインド人は騙してくるから気をつけるように」という話を聞こうとも、それがどの程度のものなのかの実感を持つことはできない。
そして、正直なめていた部分もあったと思う。
確かになんとかはなった。
ただそれは運がよかっただけかもしれない。
今回騙されずにすんだのは、
(1)「旅行会社につれていかれたら高額ツアーを組まされることがある」ということを知っていたこと
(2)英語であしらうことができたこと(皆の海外経験により)
(3)ミホさんにインド人の友人がいたこと
といったことがあったからだ。
自分の目で見て、耳で聞いて、冷静に判断する、緊張感を持ち行動する。
「自分の身は自分で守る」という当たり前のことを改めて戒める、そんなインドの一日目だった。
【上記のようなスリルを味わいたくない人は…】
空港から市街地までの一番確実な移動手段は、シゲタトラベルの空港送迎サービスな気がします。少々値ははりますが(1人旅:1,500円/2人以上:1人あたり1,000円)、予約している宿まで確実に連れて行ってくれるようです。
参考:シゲタトラベル空港送迎サービス(http://www.yokosoindia.com/airport-pickup.htm)