読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

映画感想:『美女と野獣』はLGBTに対するディズニーのスタンス表明


エマ・ワトソン 映画 『美女と野獣』 予告編


まず第一に、素晴らしい作品であったことを述べておきたい。

「1991年製作のアニメ作品を単純に実写したもの」だと思い侮ることなかれ。製作費1億6,000万ドル(約176億円)は伊達ではない。


  • 美男美女

ベル役エマ・ワトソンはもちろん、野獣役のダン・スティーヴンスはイギリス出身のイケメン俳優

  • 脇役

スター・ウォーズ』新三部作でオビ=ワン・ケノービを演じたユアン・マクレガーが燭台役を演じている(わからなかった)

  • ひとりぼっちの晩餐会(Be Our Guest)シーン

f:id:nesolla:20170503114117p:plain

これがものすごい。たった4分のシーンだが、彼の過去の監督作品以上のコストがかかっているとのこと。

“It’s a four-minute number that cost more than Mr. Holmes‘s entire budget,”
the director says, referring to his 2015 film about the retired Sherlock.

『Inside the filming of Beauty and the Beast's live-action 'Be Our Guest'』より
http://ew.com/movies/2017/03/10/beauty-and-the-beast-filming-be-our-guest/


まさに豪華絢爛。アニメでこそ表現できるような色鮮やかで次々に変わる歓迎のショーを、見事に実写とCGで表現している。魔女の魔法によって荒廃したお城とのコントラストもあり、アニメ版よりも華やかなシーンに感じられる。

  • 主題歌

主題歌は1991年制作のアニメと同様『Beauty and the Beast』なのだが、歌っているのはアリアナ・グランデジョン・レジェンド
ジョン・レジェンドは『ラ・ラ・ランド』に出演をしていたが、ハリウッドからのラブコールが多いようで)


Beauty and the Beast (From "Beauty and the Beast"/Official Video)

1991年に歌っていたセリーヌ・ディオンとピーボ・ブライソンのオリジナルVer.もいいのだが、今回の主題歌もファンタジー色を若干弱めた現実世界のラグジュアリー感を感じるVer.も良い。


そして今回の『美女と野獣』だが、物議をかもしている点がある。

ディズニー映画で初めてLGBTQ(ゲイ)のキャラクター(ル・フウ)が登場したことだ。監督のビル・コンドンもその旨を公言しており、米Attitude誌のインタビューで下記のように回答をしている。

“LeFou is somebody who on one day wants to be Gaston and on another day wants to kiss Gaston,” Condon revealed. “He’s confused about what he wants. It’s somebody who’s just realizing that he has these feelings. And Josh makes something really subtle and delicious out of it.”

“That’s what has its payoff at the end, which I don’t want to give away,” Condon added. “But it is a nice, exclusively gay moment in a Disney movie.”

ル・フウは、いつかガストンのようになりたいと思うと同時にいつか彼にキスをしたいと思っているんだ。
彼はそれに困惑していて、ジョシュ(ル・フウを演じた俳優)はそれをうまく演じてくれた。
最後には決着がつくんだけど、その内容は今言わないよ。
ただ(何にせよ言える事は)とても素晴らしいことだよね。ディスニーにとって初めて、ゲイが登場する瞬間だよ。

これの発言は各地で波紋を呼び、ロシアの同性愛反対の議員が同国内での上映中止を求めたり、アメリカの一部の映画館では上映を取りやめたりしている。


また冒頭、ベルが歌いながら町を歩きまわるシーンで本を貸す神父が黒人で、また他シーン(舞踏シーン)にも黒人が登場する。


良いか悪いかは別として、ディズニーの今後の姿勢はダイバーシティーを表立って表現する姿勢なのだろう。

ウォルト・ディズニーは人種・性差別の姿勢を持っていたとされ(その時代のアメリカ人は多くはそうだったのだろうけど)、少なからずディズニーにはそのイメージがつきまとう。

ディズニーが人種/性別/宗教/国を限定しない形で「夢」を届ける存在であるためには、直面していかなければいけない点なのだろう。

上記のようにゲイが登場したことに対する批判もあり、また黒人が多く登場することに対する批判もある。
舞台設定がヨーロッパなのにあえて黒人を登場させていることがポリティカル・コレクトネスの押し付けだという声もある。

近年、ポリティカル・コレクトネスに対する辟易さから来る反抗もあり、世界がゆれている。
そんな中ディズニーが示したスタンスは、アメリカ国民、その他の国の人々はどう受け取っているのだろう。(興行収入を見ると、単純に楽しまれているように思えるが)


とまあ、ディズニーのスタンスについて考えなくても、GWや休日に見て夢の世界に浸り現実世界の活力にすることができる良い作品ではないでしょうか。