新・映像の世紀『第四集:世界は秘密と嘘に覆われた』

1/24(日)に放送された冷戦期の回を見た。

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秘密と嘘、その原点

主題が表すように、冷戦とは、スパイ戦争,情報戦争でもあった。
アメリカ国内にソ連のスパイがおり、逆に、ソ連内にアメリカのスパイがいた。
隣人がスパイかもしれない、自分が監視されているかもしれない、人を信じることができない精神的につらい時代であったと思う。

冷戦後のドイツでシュタージ(東ドイツ秘密警察)の監視ファイルが公開され、妻がスパイだと密告した(妻は6年間投獄)のが夫だったと判明するなど、家族の絆がひきさかれた事実は何とも痛ましい。。

また何がそのような秘密と嘘に覆われた時代を作ったのかというと、同シリーズ『第三集:時代は独裁者を求めた』が思い起こされる。

第一次大戦後に国際連盟は「宣戦布告」を定めた。”紛争当事者である国家が相手国に対して戦争行為(hostilities) [1] を開始する意思を表明する宣言”のことである。

ただ、その後の第二次大戦ではその宣言は破られることとなる。ヒトラー率いるナチスのドイツ軍は、独ソ不可侵条約を破ってソ連に侵攻するなど、ほとんどの戦線において宣戦布告を行わなかった。

第二地大戦後、国際連合にて宣戦布告なき戦争を実質的に根絶したが、第二次大戦時の記憶新しく、国の間の取り決めの信頼性が落ちていたのかもしれない。

「冷戦」?いや戦いは行われていた

冷戦というワードは物理的な戦争は行われていなかったイメージを誘発するが、実際には多くの代理戦争が行われていた。


▼アメリカが直接介入
朝鮮戦争ベトナム戦争

ソ連が直接介入
アフガニスタン侵攻

▼双方が現地勢力を支援
アンゴラ内戦、ソマリア内戦、カンボジア内戦キプロス紛争

▼一方が現地勢力を支援
亡命キューバ人、ニカラグア、チリ、開発独裁の諸国

▼国家間紛争でそれぞれの国家に支援
中東戦争、印パ戦争、エチオピア・エリトリア国境紛争

▼戦いはなかったのもの、国が分断
東ドイツと西ドイツ


史実として上がるものがこれだけある。決して物理的な戦争が行われていなかったとは言えないだろう。
冷戦というワードはミスリーディングであり、代理戦争期と呼ぶべきだと個人的には思う。